防  風  林

(文・高 橋 幸 男)

第3回 ライバルを持つ

 無人島にたった一人流れ着いたら、友だちや恋人よりも敵(ライバル)がほしいといった人の話を聞いたことがある。

 慰め合う相手より、競い合う相手の方が、生きる力になるということだろう。

 極真空手の名選手たちもライバル同士競い合うことで一時代を築いた例は多い。 多くの選手たちが互いに競い合うことで極真空手は発展してきた。

 世界大会などで必ず決勝戦で合おうと約束し、その通り決勝戦を戦った選手同士、お互いの健闘をたたえ合うシーンをみることがある。 勝敗を超えて互いの成長をみているのだろう。

 昔、水泳界で有名な日本を代表する二人の選手がレースでデッドヒートを繰り返し競い合っている最中は、まったく苦しさも感じない無の世界に入ると言う記事を読んだことがある。  大会に限らず道場の組手でもライバル同士、心が通い合い、苦しい中にも充実感が勝り、いつまでも戦っていラレル用な感覚に浸るときがある。 夢中になり互いに高めていける人間関係を持てた人は幸せであると思う。 個人だけでなく組織においても競合する相手がいなくなると急に力が衰え没落してしまう。

 友だち付き合いにもいろんな形があるが、墜落した人間関係ではなく、互いのことを尊重しあい高め合っていける人間関係を築いていってほしい。

 人生20代は金、30代は銀、40代は銅、というたとえがある。特に若い人たちには競い合えるライバルを持ち、貴重な黄金期である青年時代を価値あるものにしていってほしい。

 
(空手家、画家・鹿追)
2011年11月25日北海道新聞十勝版(夕刊)


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