防  風  林

(文・高 橋 幸 男)

第9回 親孝行について
 このところ、マスコミの間でもいじめの問題が多くとりあげられます。
 田舎で割とのんきに暮らしてきた自分には理解できないことも多いのですが、ちょっと騒ぎすぎると思う反面、世の中の臆病な部分も感じます。
 長年、農家回りの仕事をやってきましたが、家の仕事を手伝う子供たちはみな明るく、あいさつもきちんとでき、親たちも面倒がらずに子供とよく関わっているように感じました。
 親は子供に仕事をさせるよりも、自分でする方が手っ取り早く楽なため、つい自分たちで済ませてしまいがちですが、できる仕事はさせるべきだと思います。
 子供はまず、親に褒めてもらいたいし喜んでもらいたい。そういった親子関係が、人間関係の基礎になると思います。そして人を尊重することを理解し、それが礼節にもつながっていくのではないでしょうか。
 赤ん坊は食べたいものは何でも自分の口に入れ、しならくすると近くの人たちの口に入れて回ります。これは人としての本能らしく、よく目にしましたし、自分自身もきっと、そうだったろうと思います。
 人のために役に立つこと、思いやることは教育して教え込むというよりも、本能を自然に育てあげるといった理解の方が正しいような気がしました。
 道場では子供たちに、お父さんお母さんの手伝いをするように言ってます。
 空手の技を教えるだけではなく、心身とも正しく育つよう、子供たちをサポートしたいと思います。
(空手家、画家・鹿追)
2013年3月15日北海道新聞十勝版(夕刊)


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