防  風  林

(文・高 橋 幸 男)

第13回 もう1パーセントの努力

 大声援の中、全力で戦う選手たち。それぞれの道場の看板を背負い個人の名誉をかけ何ヶ月もあるいは数年も懸命に稽古を積みトーナメントに挑む。 誰でも勝者になることを夢見、大会に出場する。しかし頂点に立てるのはただ一人、空手の大会に限らず勝負の世界は残酷であり大半の者は敗者となってしまう。それでも勝たなくてはならないのが勝負の世界であり、一生懸命戦ったからといって認められるほどこの世の中は甘くない。 勝者になるには努力・稽古しかない。私のところの選手たちもさまざまな大会に出場し、試合内容はほとんど優劣がないのに、ほんのわずかの差で勝利を逃してしまうことが多い。
 結局同じように努力している者同士、星を落とすかものにするかなど、数パーセントの実力差もないのではないか。道場稽古でも通り一遍の稽古を済ませるとすぐ帰ってしまったり、やっていても集中していない生徒が多い。 私は帰ろうとする生徒を呼び止めて、10分程度集中的に稽古させることがあるが、大会で接戦になった場合大対勝利しているように思う。

 昨日より今日、今日より明日と薄い紙を1枚ずつ重ねていくように、1パーセントずつ多く努力を積み重ねていくことが、勝利、成功へ至る確実な方法と自覚すべきである。空手やスポーツの分野だけでなく勉強や仕事にしても同じことがいえるのではないか。特に若い人たちには要領や人の力に頼るのではなく、自身の努力によって目標を実現していってほしい。


(空手家、画家・鹿追)
2014年1月24日北海道新聞十勝版(夕刊)


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