防  風  林

(文・高 橋 幸 男)

第19回 筋肉を鍛える

30年以上、道場で空手を指導してきて気になるのは、近年子供たちの筋力が著しく低下していることだ。腕立て伏せが1回も出来ない子が普通であるし、筋肉量が極端に少なく覇気が無い。時代は人間が楽をする方向に進んできたので、当然の結果ともいえるが、大きな問題だ。

 個人的な考えだが、脳というのは頭の中にあるだけではなく体全体に広がって存在していると思う。大脳とつながっている神経自体が脳の一部で、筋肉とも一体となっていると考えている。運動神経のいい人は、勉強もそれなりにできるものだ。

 筋肉を鍛えることは、燃焼機関を大きくすることだから太りにくくなる。運動が楽に出来、活動的になる。好循環の中でエネルギーが高まり、破棄も出てくる。生き物は生まれながらに備わった機能を満遍なく発揮するように出来ており、活動の多くを担う筋肉の果たす役割は極めて大きい。
 現代病の一つといわれている腰痛も、軽い症状の場合は腹筋を鍛えることで大半は治ってしまう。道場ではそれらも考えて稽古に励んでいるが、ぜひ体を動かし筋肉を鍛えることを生活の中に取り入れてほしい。
 若い世代を育てることは、国の将来を作ること。そして私たち大人も、医療や福祉に頼らず生きていく心構えが必要と思う。


(空手家、画家・鹿追)
2015年6月5日北海道新聞十勝版(朝刊)


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