防  風  林

(文・高 橋 幸 男)

第21回 継続する

「石の上にも三年」と言い、それを極真空手の創始者・故大山倍達総裁は「石上十年」と言っています。何事も十年続けてこそ理解でき、身に付くということです。

 私は何事も飽きっぽく、長続きしませんでした。極真空手に強くひかれ入門したものの、十年という年数はとてつもなく長い時間に思え、気が遠くなったものです。

 予想した通り、我慢することを思い知ることになるわけですが、我慢して年数を重ねていくと今まで全くわからなかったことがわかってきたり、予想に反して確実に進歩、上達したりするのが実感できます。生徒を指導するようになって、長く続けること、過程そのものの重要性をさらに実感するようになりました。

 不器用なのかおくてなのか、努力の成果が現れるのに数年以上かかる場合もあり、人間の持っている可能性の不思議さを感じます。

 技術を習得するのに短時間で出来る人もいますが、心で理解するのは時間がかかるものです。我々のような凡人でも、長時間努力を継続することで人間性をも含め、自己の能力を大きく高めることが出来ると思います。

 「努力精進大器晩成」を胸に、焦ること無く続けることが重要だと思います。


(空手家、画家・鹿追)
2015年10月23日北海道新聞十勝版(朝刊)


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