大会レポート


第7回全福島空手道選手権大会
2011年9月18日(日)
福島県須賀川市・須賀川アリーナ



旭 川 支 部
原 一 浩 参段

 平成23年9月18日に開催された全福島空手道選手権大会に審判として参加して参りました。 福島原発の事故が収拾していない中、福島に行くと職場の人に言うと「大丈夫なの?原発。」とか「震災のボランティア?」と聞かれました。
 現地入りは大会の前日、17:30、新千歳空港発のANAでしたので、福島空港に着く時には暗くなっており、被災状況は分からないだろうと思っていましたが、上空から見ると夜景が暗いのです。きっと、震災前はもっと明るく街並みが確認出来たのではないかと思います。空港からホテルに移動する時もそんなに大きな被害は無いように見えましたが、良く見ると電信柱が斜めになっていたり、道路が凹んでいる箇所がありました。帰り道に明るい時に見ると瓦の屋根が無くなっていて、やはり震災はあったんだと自覚出来ました。ちなみに今、瓦が手に入らない状況だそうで、それを聞いた時に「しばらくは試割りで瓦は不謹慎だな!」と思いました。
 色々な人に聞くと、震災の被害は海岸線では津波で報道されているようにほぼ全滅、内陸は地震の影響で家屋が全壊している所もあり、地盤の関係で被害の度合いが左右されているようです。
 そんな中、大会には370名を超える選手が集まったそうです。一時は大会の開催は危ぶまれていたそうですが、子供たちの試合をしたいという申し入れに関係者は「10人でも20人でも開催しよう」と思ったそうです。それが蓋を開けてみると今までで最多の出場者との事です。これだけでも福島の復興は間違いないと思いました。
 大会は3面で行われます。メインコートを除く2面は準々決勝までは3審制で行われ、それ以上は5審制でした。北海道大会で3審制と経験していた自分は戸惑う事なく対応出来たと思います。
 少年部は顔面に金網でガードが付いたヘッドギアを着けていました。そのため、正面からの直線的蹴り、所謂、上段前蹴りや上段横蹴りと言った蹴りは有効となっていました。
 その反面、金網が前に出ているため、接近戦では金網同士がぶつかったり、それほど強く当たっていないのに技ありになったりというマイナスの面もありました。防具については一長一短が常に付きまとい、ベストという物は無いというのが実感です。
 この大会でも他流派が強かったです。中学生の部以上になると戦い方はそれほど変わりないと思いますが、少年部では男子女子とも他流派の動きが早く、パンチや下段から上段へのつなぎが上手いと思いました。
 壮年の部には大石道場から大垣選手が参加しておりました。自分の昇段審査で最後に相手をして下さった方です。決勝戦では100kg超級の選手と戦い再延長まで戦って、やぶれはしましたが、見事な戦いぶりで胸が熱くなりました。大会終了後にお話をしましたが、「昇段審査の時に原さんと戦って、その時の気持ちがこの試合まで持続出来たと思います。」と言って下さり、恐縮してしまいました。
 型試合も行われました。各種大会で型試合において上位入賞を果たしている門馬道場の型試合を見るのも今回の大会の目的の一つでした。
 予選では各選手の演武に対して点数が付けられ、上位4名が決勝トーナメントに上がって来るという仕組みになっていました。予選では平安Uと平安Xが演じられ、決勝トーナメントに上がったのは全て女性でした。
 一つ気になったのは、騎馬立ちが低すぎる選手がいた事です。低くするために足が外側を向き、四股立ち気味になっている場合もありました。過ぎたるは及ばざるがごとしであると思いました。
 しかし、全体のレベルは北海道より遥かに高く、付け焼き刃で大会に参加する人は皆無で、相当型稽古をしているのだと感じました。
 決勝戦の前に門馬師範の演武が行われました。棒の型、組棒、バット折りです。棒については秘伝も物らしく、見た事のない構えで相手を制圧する様は圧巻でした。
 会場のスタッフの半分以上は父母の方々だと思いました。大会運営に慣れているのか淡々を自分の担当をこなしているように思いました。他地域から来る多数の来賓対応、選手係、グッズ販売に至るまで門馬道場のため、大会を盛り上げるために尽力されている姿が印象的でした。中には家屋が全壊になって、住む所にも困っている方もいるそうなのです。それでもこの大会は成功させたいと2日間、家を空けて駆け付けて来るというのは感動に価します。会津の魂が生きているのだと思いました。
 門馬師範は高橋師範や石川先生とも親交が深く、北海道に大きな影響を与えた師範です。福島にいる間、門馬師範の武術の関する造詣の深さに感嘆し、感心しました。帰り際には「今度は北海道の方々と稽古したいですね!」と仰って下さいました。自分は願ってもない機会ですので「是非お願いします。」と言いました。実現すると嬉しいです。きっと実現するはずです。
 大会の前夜から大会の翌日まで、門馬師範の行き届いた心遣いを感じた3日間でした。職員の岩崎さんや佐藤さんに合わせてお礼を言わせて頂きます。ありがとうございました。

押忍

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