大会レポート

2011年12月11日
第43回全日本空手道選手権大会

東京・駒沢オリンピック公園体育館


北 見 支 部
中 井 真太郎 初段


 平成23年12月11日に東京で開催された第43回全日本空手道選手権大会に出場しました。この大会を振り返ると大会までの間、辛く感じることが多々ありました。

 9月11日に開催された北海道大会では他団体にタイトルを獲られ、試合内容も技ありをとられ、惨敗する結果となりました。このときより道場の看板を守る為にも強くならなければならないと心に誓いました。
 しかし、敗戦した心の傷は大きく、稽古内容・組手など自分の取組んできた事に疑問を感じ、何が正しいのかわからなくなりました。稽古を見直す為に、様々な人の助言を聞き、取組めることは何でも取組みました。半信半疑な気持ちではありましたが、一生懸命稽古した自負はあります。しかし、強くなった成果は感じられませんでした。さらに追い討ちをかけて、試合10日前には肋骨を損傷してしまいました。勝たなくてはならないという思いに対して裏腹なことばかりで気持ちが折れそうになりました。
 しかし、この怪我で気持ちが切り替わり、プレッシャーを吹っ切る事ができました。「勝たなければならない」というプレッシャーからの力みが抜け、「怪我を抱えた状況でどの様に勝つか?」と考えるようになり、「今ある状況を受け入れ、どの様に勝つか?」を冷静に考える事が出来きるようになりました。
 とはいうものの「試合までどれだけ怪我を回復出来るのか?」と不安に思う日々が続きました。

 試合当日、付き添いも無く、ウォーミングアップも一人でセコンドも無い状態でした。今まで、一緒に大会に出場する仲間が居ること、セコンドについてくれる先生や仲間がいることが、恵まれた環境であったということに、このときはじめて気づきました。

 試合内容は、1回戦はシードで2回戦からの戦いでした。対戦相手は大石道場の松浦選手。体格も似ていてかみ合うタイプに感じました。帯をみると茶帯でした・・・。私は日頃後輩などに「黒帯が色帯に負けたら切腹だ」と言ってきました。コンディションはどうあれ自分の言葉への責任が問われる一戦です。絶対に負けられません。試合が近づくにつれ、後輩の三浦君の顔が頭から離れませんでした(汗)。試合が始まってからも苦しい時には三浦君の顔が・・・(汗)。どの様な試合内容だったのかあまり憶えてはいませんが、本戦判定勝ちをする事ができました。一人で臨んだ試合でしたが、苦楽を共に稽古した仲間の支えで勝つ事が出来ました。動きも良かったとの事です。また、この一戦で心肺を上げる事が出来、初戦の精神的なプレッシャーもとることが出来、良い状況で3回戦を迎える事になりました。
 3回戦の相手は長谷川道場の纐纈選手。世界大会の王者です。全部出し切り試合を楽しもうと心を決めました。その後、幸運なことに佐藤先生・野中先生がセコンドについてくれることになり、両先生から試合前にアドバイスをいただきました。正直、全力でぶつかるつもりでいた私には拍子抜けする内容でした。しかし、最後に頂いた「自分が良いと思うことや、出来ると思うことだけとりいれれば良いから。」という言葉で、熱くなっていた考えに冷静さを取り戻すことが出来ました。
 試合内容は、映像で自分も確認しましたが、納得できる動きが出来ていたと思いました。
 正直、自分でも驚いています。しかし、結果は本戦判定負けで、実力差は歴然でした。しかし自分にとって、多く「学び」と「気づき」を得ることが出来た一戦でした。

 試合前に頂いた、佐藤先生・野中先生の一言一言に、自分の目指す何かが、ぼんやり見えたような気がしました。両先生にはこの場を借りて改めてお礼を申し上げます。

 試合を終え10日経ったいま、正直、何が良くて何が悪かったのか解りません。同じ戦いがまた出来るかと言われても「出来る」と言える自信はありません。
 ただ、この一戦で学んだこと、「諦めず継続すること」です。どんなに気持ちが折れそうになっても諦めず継続することが大事なのです。勝てなくて、辛くて泣きそうになっても諦めず続けることが大事なのです。諦めなければいつか必ず強くなることが出来ると私は思います。次は6月に開催される全日本ウェイト制に向けて「諦めない心」で稽古に向き合いたいと思います。そして、9月の北海道大会では絶対に高橋道場のタイトルを取戻したいと思います。

 これから、私もまだまだ選手としての活動や実力向上に向けて課題が山積みであります。しかし、それ以上に道場全体の課題として選手の育成問題が急務としてあると思います。個人の成長だけではなく、練習会などを開催し道場全体として選手育成にも力を入れていきたいと思います。

 最後に高橋師範をはじめ先生方にはこのたびの大会では大変お世話になりました。本当にありがとうございました。
押忍

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